2023年9月1日(金)、有給をとって台湾へ。台北のホテルにチェックインし、シャワーを浴びるとすぐに準備。海の向こうの甲子園、18歳以下のワールドカップが開かれている天母野球場へ。
ホテルから近くの中山(ソンシャン)駅から淡水信義線(上り) で淡水方面へ。6駅先にある芝山(ヂーシャン)駅を目指す。台湾の地下鉄はわかりやすくて助かる。ICカードを買うほうが得だが、チャージや日本円への換金が面倒くさいので切符を買う。台湾はICが埋め込まれたチップを改札にかざす。面白い。25元(120円くらい)と安い。台湾は電車移動がお得だ。
あっという間に芝山駅に着くと車窓から松屋が見える。外は小雨。傘をさすほどではない。球場までは徒歩20分。市場を抜けて、ほぼ直角に曲がるだけなので迷うことはない。
球場の手間まで来ると高島屋、すき家がある。日本かと錯覚するが、ここは台北。この付近は日本人の居住者が多いらしい。外国に住むのはどんな気持ちだろう。
横断歩道の向こうに勇ましい赤の装飾とゴールドの漢字が見える。「臺北市天母棒球場」。国際試合のときはTAIPEI TIANMU BASEBALL STADIUMになる。
バットのモニュメント。素晴らしい。余計なものこそ大きく作り、球場はコンパクトにする。これぞエンターテイメント。
グローブをモチーフにした椅子。ちびっ子が座って写真を撮るのだろう。野球ファンを育てる種まきもしっかりしている。
本来は球場の手前でチケットを購入するようだが、人影はなし。本当に野球が行われているのか?と不安になる。
目の前に来ても人の気配はなし。噂では聞いていたが、本当に無料で入れてしまう。
普段は味全(みぜん)ドラゴンズの本拠地。1990年に設立された台湾プロ野球はどんな雰囲気だろうか。
スタジアムを奥に進むと野球が行わていた。小雨が降っている。
サンルーフにカラフルな客席。観客は少ない。いかにも国際試合という感じ。
人工芝と赤土が美しい。WBCで見たのと同じユニホームが躍動している。
映画館も暗闇に入った途端に非日常の魔法をかけてくれるが、野球場は目の前に夢が広がる。
天母棒球場はバックスクリーンの向こうに広大な山々が広がる。なんと素晴らしい光景。街や海辺にある野球場もいいが、山に囲まれた野球場なんてステキだ。
台湾(中国)はベースボールを「棒球」と訳す。「塁球」でも「野球」でもない。バットでボールをシバくスポーツ。国の違いが出て面白い。
日本の試合の前にパナマvs.ベネズエラ。中南米の雄の対決。
18歳以下なので、あどけなさは残るが、国際試合の戦闘服はめちゃくちゃカッコイイ。
WBCの興奮が蘇る。やはり国際試合は最高だ。実力とか関係ない。
ベネズエラの高校生は身体能力は高い。将来のメジャーリーガーが多いのも納得。
ただし球速は日本のほうが速い。身体能力を活かしきる練習をしていないのだろう。
国際大会において守備が荒いのは致命傷。WBCの試合も多くがエラーで負けている。日本の野球が強いのもここに理由がある。
天母棒球場の両翼は325フィート(99m)。国際規格で最も短い。
同じく中堅のフェンスまでも最短距離の400フィート(121m)。国際試合を行う球場としては最もミニマムになる。そのほうが観客も見やすいので良いことだ。逆にメジャーの球場は広すぎるかもしれない。
13対4でパナマがベネズエラを圧倒。明日の日本戦で真価がわかる。そして7回制の野球が気になっていたが悪くない。夏の高校野球では導入してはどうか。
試合が終わるとスタッフの方々が雨用シートをかぶせる。かなり雨足が強くなってきた。
試合まで1時間以上あるが、侍ジャパンが練習開始。スペイン代表は影も形もない。準備の徹底さは日本が最強だ。
球場内を探索。閉まっているが、普段は台湾のフードを販売しているらしい。チャーハンっぽいものからお菓子、お餅など。美味しそう。
ありがたいことに1店舗だけ営業していた。ホットドッグを頼むが15分かかると言われる。注文を受けてから作るらしい。20分くらいで行ったけど、まだできていなかった。
ペプシコーラとホットドッグ。台湾感がゼロだがこのバッテリーは最強。140元なので600円ちょっと。日本より少しだけ安い。
日本代表は素振りのウォームアップ。
慶應の丸田湊斗。注目を浴びるのはうれしいが、同時にプレッシャーもチームで一番だろう。
日本の4番・履正社の森田大翔。去年は木製バットで浅野翔吾しかホームランが打てなかったと聞くが、ぜひ一発かましてほしい。
今日の先発・沖縄尚学の東恩納蒼と戯れ合う。
また雨が降り出した。台湾のスタッフも大変だ。
天母棒球場はもともと2万人収容の球場だったが、台湾のファンの応援熱がすごく、近隣住民から反対があり外野席がほとんどなく1万人の規模になった。台湾の応援はそれほど凄い。
意外にも日本側の応援がいる。家族だけでなく、おそらく現地に住んでいる日本人。芝山は日本人の居住者も多いようだ。自分のように、わざわざ日本から来た人もいるだろうか。
フェンスに乗り出すのは台湾人のファン。世界一の親日国と言われる台湾では甲子園も放送しているとか。女性が多い。
カクテル光線に灯がともる。海の向こうの甲子園、18次半プレイボール。
東恩納は2回をノーヒットに抑えて交代。先月、甲子園に行ったときも長崎の創成館を相手に見事なピッチングだった。先発ピッチャーにとって、安定感は何よりの武器。
日本に比べ、フォームもイマイチなスペイン代表。日本とは練習量が明らかに違う。WBCで比較すれば5大会で3度も優勝している国と、予選敗退で本戦に出られなかった国の対決。風車に挑む若きドンキホーテたちか。
先発ピッチャーは1回を投げて4四球。スペインは守備のミスもあり2回で8失点。
日本の打者とは基本、足腰の安定感などすべてが違う。練習内容と練習量が違うのは明らか。
ボールが頭の高さを通過しても打撃フォームを崩さず、しっかり眼でボールを捉えている智辨の中山優月。何万回もバットを振って築き上げた土台。練習量を物語る。
盗塁を仕掛け、キャッチャーの送球ミスから三塁も陥れるレフト橋本。スペイン代表は試合前のキャッチボールでも荒れ球が目立った。野球というスポーツは同じ動きの反復運動。基本を大切にする日本が強い理由もここにある。
2回を終わって8点差で負けている状況で誰よりも声を出し、全身を使って味方を鼓舞するスペイン代表のララ。どこの国でも、こういうプレー、選手には心打たれる。これぞ野球の素晴らしさ。
守備でもチームを盛り立てる。
重心を落とし、体重が乗った素晴らしいフォームの山形中央・武田陸玖。単純な体格ならスペイン代表のほうが大きいが、全身の力を上手く利用しているので球速は武田のほうが速い。日本の高校野球のレベルを物語るピッチャー。
日大三高の安田 虎汰郎。全身がバネのようで、鞭がしなるような投球フォーム。スペイン代表は皆、腰が高いが、日本代表は投球フォームの美しさも際立っている。
試合中ずっと声を出しっぱなしだったスペイン代表の左翼手ララ。外野なので人一倍大きな声を出さなければいけず、それでも声量が衰えず、心折れかけていたナインを鼓舞した。何年後かにWBCかプレミア12で活躍が見たい。
日本代表で誰よりもファーストから声を出していたのが明徳義塾の寺地隆成。侍ジャパンの推進力になっている。ワールドカップの壮行試合では大学生相手に初球を強振しヒット。日の丸の元気印になっている貴重な選手。
絶好調・緒方蓮のサヨナラタイムリーで6回、10対0のコールド勝ち。
WBCと同じく初戦は特別だ。国際大会は必ず初戦を見たいもの。初戦を見逃すとテレビドラマを途中から見るようなもの。
試合後、スペインのベンチにも礼をする日本。
試合後に観客席に礼をする文化は日本だけなのか。慌ててスペイン代表がベンチから出てきて手を振った。
スペイン代表は試合後すぐにグラウンドで反省会。ベンチ裏やホテルではなく、戦場、現場で行う。 コールド負け濃厚でも腐らず全員が最後まで全力でプレーした。リスペクトしかない。
素晴らしい球場だった。プレミア12で帰ってきたい。
台湾初日の締めはホテルの前の夜市。
台湾の屋台は道幅が狭いから人の距離が近い。熱い。密度がある。日本とは大きく違う。It's a small world。狭さの美学。
仔牛のサイコロステーキ200元(1,000円くらい)
今度は300gを買おう。めちゃくちゃ美味い。牛肉の脂をコーラで流し込む。勝利の方程式。
サイコロステーキだけでは足りなかったので、ホテルの前のセブンイレブンで夜食。杏仁茶は素晴らしい。ハマった。シャワーを浴び、明日の本番に備え、1時過ぎに眠りについた。
台中インターコンチネンタル野球場
6時半に目覚ましで起きる。夜中は足が攣って激痛が走った。体力が無さすぎる。旅をするにはこれじゃダメだ。アメリカに行くまでジョギングしないと。
外を見ると台湾の人が傘をさしている。今日は天気とのバトルも強いられそうだ。とにかく試合中止だけは避けてほしい。台中の天気が気になり、シャワーを浴びてテレビをつける。天気予報はよくわからない。チャンネルを回すと日本の番組が放送している。速水もこみちが出ていた。7時半にチェックアウト。カードキーを返すだけ。謝謝。快適なホテルだった。ホテルの目の前のハンバーガー屋さんが24時間営業。お腹は空いているが早く台中に着きたい。台湾の朝は明日、楽しもう。
南下して台北駅へ。ホテルからは歩いて10分ほど。小雨なので傘はささない。
台中までの新幹線、自由席の切符を買う。「高鐵(HSR)」と書かれた場所へ。675元。日本円で3千円くらい。東京から静岡くらいまでなので安いか。プラットフォームで待つ間に汗が吹き出る。空調があまり効いていない。夏だ。
台湾の人は朝が早いのか、8時なのに、すでに混んでいる。ただし10分くらいの間隔で電車が走っており、自由席は余裕で座れた。
そのまんま東海道新幹線ではないのか?快適ではあるが、日本にいる感覚。
8時11分に発車し、台中に着くのは9時15分。桃園まで来ると雨がやんで少し太陽ものぞく。台中もこんな天気であればと願う。
板橋、桃園、新竹、苗栗を通過すると次は台中。ニューヨークのマンハッタンを思い出す車窓の風景が現れた。しかし駅に着いて驚いた。台中の駅は市内を走る「臺中駅」と新幹線の「高鉄台中駅」に分かれているのは知っていたが、歩いて5分くらいとタカをくくっていた。
しかしスマホで現在地を見ると徒歩1時間半以上の距離。完全に別の駅ではないか。野球場までは歩いて2時間かかる。慌てて駅に設置されたタクシーを拾う。おばちゃんの運転手でテンションが高い。日本人だと伝えているのに中国語で喋ってくる。ペットボトルの水をくれた。これが後々に大助かり。
高速道路を20分ほど走ると、ついに見えてきた。ボール型のモニュメント、アーチ。テンションが上がる。運転手のおばちゃんも「イエーい!」とハイテンション。ノリがいい。
球場の周りは高級住宅街。バックスクリーンの背景に山が見える天母棒球場と違い、都市の球場という感じだ。
台中インターコンチネンタル・スタジアムは第1回WBCと同じ2006年に誕生。11月に行われた第16回IBAFインターコンチネンタルカップがこけら落としで元々は「台中市国際標準棒球場」の名称だった。今は「台中洲際棒球場」
台北と同じくもモニュメント。野球ファンを歓迎してくれる。
この日は閉まってたが、台湾野球の歴史博物館もある。行ってみたかった。
台湾料理のメニューも豊富。この日は営業していなかった。
階段を登ると球場の入り口。台湾プロ野球(CPBL)の中信兄弟の本拠地。屋根を吊すアーチがカッコ良すぎる。中に入る前から魅了された。
天然芝と褐色の土のクラシカルな匂い、翼を広げたようなサンルーフ、カラフルな座席。天母棒球場も素晴らしかったが、国際試合にふさわしいスタジアム。
ナチョスやブリトーなどのメキシカン料理の屋台。さすが国際球場。
ケンタッキーの屋台もある。
歴代の大会で使われた記念球の展示。こういう何気ないものが野球ファンの心をくすぐる。
青、黄、緑、赤の4色のカラフルな座席。WBCのロゴと同じカラーだ。
一塁側の内野席には、まだWBCの残り香がある。これはうれしい。
球団のマスコットだろうか?トイレもユニーク。
台湾の応援熱を象徴する内装。これは野球ファンとしてうれしい。
それにしてサンルーフやアーチがカッコいい。ダントツでアジア最高峰の球場だろう。これまで訪れた球場の中でも圧倒的だ。
両翼は325フィート(99m)、中堅のフェンスまで400フィート(121m)と国際規格ギリギリ。国際試合を行う球場としてはミニマム。観客にとって、球場がコンパクトなほうが見やすい。
驚いたのは外野席のすぐ後ろが道路。全盛期のバレンティンが場外ホームランを打てば大事故では?と思うが、湿気のせいなのかホームランが出ない。
試合開始前に来れてよかった。オーストラリアの選手がウォーミングアップ。WBCと同じビジターユニホーム。
マイリー・サイラス『Angels like You』やコールドプレイ&BTS『My Universe』、ショーン・メンデス『If I Can't Have You』が流れ、テンション上がる。特にマイリー・サイラス。野球場に最も似合う曲と我、発見せり。
メキシコvs.オーストラリア。どちらもWBCで日本と戦った国。
台中インターコンチネンタルスタジアムは観客席がベンチの隣にある。観客と野球の距離が近い。そして驚いたのはWBSCのオフィシャルカメラマンのほとんどが女性。チアガールと有名だし、野球との関わりが深い。
この距離で野球を観られるのは贅沢。
さまざまな角度から移動して見放題。無料だからありがたい。
オーストラリアはメキシコよりも基本に忠実。
メキシコの高校野球熱はわからないが、そこまで練習量が多くない印象。キャッチボールも粗さが目立った。
素晴らしいのはオーストラリアの応援。一つひとつのプレーを真剣に観てリアクションが大きい。0点に抑えるたび、ベンチ帰ってくる選手を大きなエールと拍手で迎える。
球場内を探索。なんとメキシコ料理の店が開いてる。なんとインターナショナル。
タコスライス。200元。めちゃくちゃ美味い。
チーズナチョス。めちゃくちゃ美味い。メキシコ人の意見を聞いてみたい。
台湾産マンゴーのラッシー。120元。めちゃくちゃ最強に美味い。夏にはたまらん。3つ合わせて460元なので2,000円ちょっと。日本と同じくらいの値段。
ユニホームとヘルメット着用するオーストラリアと反対に、メキシコの走塁コーチはノーヘル&ラフなTシャツ。このテキトーさがたまらなく好き。不良漫画のキャラクターみたいに、メキシコには惹きつけられる魅力がある。
1-1の均衡を破るオーストラリアの勝ち越し点。形は綺麗ではないが、どの国であろうとベッドスライディングは胸を打つ。サッカーやバスケにはない野球のアイデンティティ。
オーストラリアの選手は身長が大きい。この身体能力を活かしきれば、もっと凄い野球大国になるだろう。
4-1オーストラリアWIN。日本の野球に近い堅実な野球。WBCでもホームランが少なかったように、長打ではなくミスをしない野球が勝敗の鍵。どちらもナイスゲームだった。それにしても7イニング制の野球も悪くない。
一度ホテルに戻って休憩。炎天下に1時間近く歩いてようやくタクシーを拾えた。タクシーのおばちゃんがくれた水がなければ脱水症状だった。謝謝。台湾はICカードを買ってバスに乗るのが得策だ。プレミア12で来るなら必ずバスを利用しよう。それかタクシーの配車アプリを使う。ホテルまでも1500円くらいないので安い。
15時半、ホテル前でタクシーを拾い、再びの台中インターコンチネンタル・スタジアム。台中は気候が良いことで有名だが、今日も天気予報の雨予報を覆し、青空が広がる。野球の神様がワールドカップを祝福してくれたのか。名物の太陽餅のように太陽燦燦。
このレストランでも一度、食事してみたい。現在、チェコvs.プエルトリコの真っ最中。無料で観れるので地元の子供はファウルボール目当てに走りまわる。
試合はすでに4回。3回までプエルトリコ打線を無失点に抑えたチェコの先発投手。4回に4失点し交代。北欧の選手にとって30度を越え湿気の多い台湾の気候は地獄に違いない。それでも苦しい顔をせず最後まで投げきった姿はWBCのトップチームを思わせた。
夕陽を浴びながら祈りを捧げるプエルトリコのリリーフ。マウンドはピッチャーの戦場であり神聖な場所。抑えればスポットライトを浴びるが、打たれればゴルゴダの丘になる。投手のルーティンはどこの国も美しい。
チェコの一塁手は身長が高い。
試合中も何かの工事が進む。観客がいないので工事の音が聞こえてくる。
プエルトリコでは、ヤディアー・モリーナやイバン・ロドリゲスの影響で一番人気のポジションがキャッチャーらしい。
投高打低になりつつある野球界で、打てる捕手がチームにいると大きく違う。チャンスを潰してしまうか、チャンスで点を獲れるか。1点を争う試合では特に重要になる。
捕手がピッチャーの魂を受け止める瞬間は麗しい。
試合は6-2でプエルトリコ勝利。猛暑の中、よく頑張った。
試合に敗れたチェコ代表からプエルトリコ代表に歩み寄り勝利を称えた。WBCの日本戦でも話題になった素晴らしい姿勢。最後まで諦めず全力疾走も光った。
今年の夏より熱いプエルトリコの応援。ストレス社会において、どうやったらこんなに底抜けの明るさが出てくるのか。
台湾と韓国の試合を前に球場から締め出された。最初は練習を見せないためかと思ったが、どうやら違うようだ。陽が落ちてきた。
球場内では台湾代表が練習を始めている。
開場が始まるとようやく分かった。台湾戦だけ有料。先に言ってよね。大慌てで階段を降りてチケット売り場へ。内野500元、外野300元。甲子園と同じくらいの値段。外野席を買う。
球場をグルっと回り入り口を発見。コンコースのような所をたどって外野席へ。殺風景だが野球はこれくらい簡素でいい。
美しい洛陽。野球は黄昏どきが愛おしい。日が暮れてこれからナイターが始まる。虹をかけるアーチと夕陽のコントラストが見事。
外野席から見るとルーフとアーチが翼を広げたように見える。天然芝も昼より美しい。この球場の真価は外野席から見てこそ。Stay Gold
いよいよ旅のメインイベント。
ライトスタンドでは韓国代表が練習。
アジアの野球はレベルが高い。ホームランが聞こえた夏。
台湾代表は威風堂々。三塁側だがホームユニホーム。
いつまでも夕暮れが続いて欲しい気持ちと、夜の帳が下りる瞬間を待つ気持ちが同居する。とにかく暑い。日本より遥かに暑い。汗が噴き出る。
試合前にCTガールズのパフォーマンス。台湾といえばこれ。少し小雨が降ってきた。
18時半プレイボール。先行は韓国。完全に球場の雰囲気に飲まれている。韓国代表は個々の能力は高いが、守備でミス連発。慣れない国際舞台、台湾という異国、圧巻の声援に呑まれた、凡フライをポロポロ落とす。
WBCの歴史を見ればわかるように、国際大会は兎にも角にも守備力。まだ戦いは続くので、実力を発揮してほしい。野球観戦は外野の最前列が一番いい理由は、この構図が見られるから。フィールドの全景が見える上に投手と打者の決闘感が凄い。
WBCで魅せてくれた打撃力はU18も健在。躍動感に溢れている。日本はスポーツマンシップが好きで「在り方」を重視するが、台湾の観客はもっと勝負に純粋で勝利に貪欲に思える
完全に陽が落ちた。ナイターの台中インターコンチネンタル・スタジアム。野球というものがルールのある代理戦争であるならば、日本やアメリカ以上に野球を自分たちに取り込んでいるのは台湾の人かもしれない。
台湾の応援を身近で感じるためにレフトスタンドのはしの方に移動。
CTガールズが花を添える。試合を見ずに台湾の観客を盛り上げるために一心に踊る。素晴らしいサポート。
イヤホンマイクを使っておじさんが場内アナウンスで観客をアジテーション。これが敵チームにとっては脅威だろう。
4回の終了にはCTガールズがお色直し。セクシーなダンスで観客を楽しませる。闘争本能を掻き立てるのに色気は重要だ。
台湾代表のライトは赤バットがカッコいい。守備ではフェンス際のファウルフライにダイブし、捕れなかったけど味方を鼓舞した。地元開催も後押ししてか、ハッスルプレーは台湾が参加国でいちばんかもしれない。
最終回の2アウトからも果敢に盗塁する台湾代表。直後に韓国のエラーを誘い追加点をあげた。こういうチャレンジがチームに勢いを生む。野球が面白い理由が凝縮されている。
6回途中、足が痙攣する台湾代表の先発ピッチャー。台湾は湿気もあわさり、下手すれば甲子園より暑い。ここは海の向こうの甲子園。高校球児にとって素晴らしい舞台。
試合は6-1で台湾の勝利。優勝争いは日本と台湾だろう。
試合後、応援してくれた観客席に深いお辞儀。対戦相手の韓国ベンチにも同じお辞儀をしていた。お辞儀の角度は日本で謝罪の意になるが、素晴らしい姿勢。何気ない所作にこそ、お国柄があらわれる。
アジアの野球観戦は台湾が最高だ。次はプレミア12で会おう。
タクシーを拾ってホテルに戻ってコンビニ飯。球場メシとコンビニしか食っていない。なんて旅だ!
目の前のセブンイレブンでは浮浪者や外国人が騒いでいる。元気だ。最高の野球体験を終え、夜は更けていった。