台湾代表が勝利すると台北101に「中華隊WIN」が点灯する
日本、メキシコとともに開催国のホストとなる台湾。CPBL(台湾プロ野球)から26人、米国マイナーリーグ所属2人の28人が代表選出。日本、韓国、キューバが強敵のグループBでスーパーラウンド(2次ラウンド)に進出。WBCやアジアCSで観た選手の中で注目の選手をピックアップ。
台湾代表の日程と見どころ
台湾シリーズとチェコ戦
台湾国内では日本シリーズにあたる台湾シリーズ(中華電信台湾大会)が10月19日から行われており、第7戦まで行けば10月27日が最終日。疲労や怪我などで代表選手が入れ替わる場合がある。代表チームは10月末から台北アリーナで秋季キャンプを行い、11月2日、3日とチェコ代表と練習試合。監督は昨年のWBCで打撃コーチを務めた楽天モンキーズ2軍監督の曽豪駒(ツェン・ハオジュ)。WBCよりさらに予選突破が難しいプレミア12でどんな躍進を見せてくれるか。
◎11月2日チェコ戦のスタメン
1棒:林立(右)
2棒:曾頌恩(左)
3棒:陳傑憲 (中)
4棒:吉力吉撈(DH)
5棒:潘傑楷(三)
6棒:朱育賢(一)
7棒:林家正(捕)
8棒:李凱威(二)
9棒:江坤宇(遊)
日本以上の守備力を誇る台湾。オープニング・ラウンド(1次予選)を自国、同じ球場(台北ドーム)、ナイターゲームで戦える。移動がなくリズムやサイクルも一定。代表チア「CT AMAZE」も結成し、12カ国で一番の応援力も追い風。日程的にも面白い組み合わせとなり、大会を占う初戦がライバルの韓国戦、真ん中に最大の山場となる日本戦、そして最終日がWBCで準々決勝への道を最後の試合で阻まれたキューバと再戦。リベンジマッチに勝利するか。また、アジアCSで2連勝したオーストラリアも今回は戦力が大幅にアップ。どんな試合展開になるか注目のカード。
オープニングラウンドの結果
- 13日 vs.韓国(台北ドーム) 6-3 ◯
- 14日 vs.ドミニカ(台北ドーム)2-1◯
- 16日 vs.日本(台北ドーム) 1-3⚫️
- 17日 vs.オーストラリア(台北ドーム)11-3○
- 18日 vs.キューバ(台北ドーム)6-3○
スーパーラウンドの結果
- 21日 vs.ベネズエラ 0-2 ⚫️
- 14日 vs.アメリカ 8-2 ◯
- 16日 vs.日本
台湾プロ野球は6チームで同じ投手と何度も対戦するためバッターは強振が多い。バッティング練習では日本の倍以上は柵越えする。初戦のベネズエラは何度もチャンスを作るが凡退の山を築き敗退。アメリカ戦でも前半は満塁のチャンスを潰すなど苦戦したが、後半に打線がつながり大量得点。東京ドームが舞台なので侍ジャパンとの試合も打撃戦が予想される。
投手
春のWBCまでは完全な打高投低だったが、秋のアジアCSから投手力も充実。特に20代前半の若手ピッチャーが多い。残念ながら離脱になったがフィリーズの1Aに所属する潘文輝(パン・ウェンフイ)は160キロ右腕。しかし古林叡煬(グーリン・ルイヤン)などエースの離脱を跳ね除けスーパーラウンド進出を果たした。
林昱珉(リン・ユーミン)背番号45
古林叡煬(グーリン・ルイヤン)の離脱でエースになったのが、MLBのダイヤモンドバックスで3Aに昇格した21歳の左腕・林昱珉(リン・ユーミン)。両腕のタトゥーが印象的。今後、台湾の左のエースとなる存在。最速153キロのストレート、カーブ、チェンジアップ、スライダーなどを投げ分ける。プレミア12は初戦の韓国戦で先発し、4回途中で被安打2、失点2の成績。試合を作った。
陳柏清(チェン・ブォチーン)背番号20
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名前:チェン・ブォチーン
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所属:台鋼ホークス
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生年月日:1998/10/25(26歳)
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身長:182cm
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投打:左投左打
今年から台湾プロ野球に加わった新チーム「台鋼ホークス」から唯一の選出。アジアCSでは門脇誠にタイムリーヒットを打たれたが、マウンドに一礼する美しさが印象的だった。スライダーを武器に高い奪三振率を誇る。今季は先発として18試合に登板し、防御率3.53。プレミア12オープニングラウンドで日本戦に先発し、源田壮亮にホームランを打たれた。スーパーラウンドのアメリカ戦に先発し、3四球で苦しんだが2回を無失点。消化試合となった日本戦で中から0日で捨て駒として先発し、18球で交代した。
その他の注目投手
陳 冠宇(チェン・グァンユウ)背番号17
元・千葉ロッテの投手。今季はCPBLで54試合に登板。防御率1.97、26ホールドをマーク。台湾でも重要なセットアッパーを務める。韓国戦、ドミニカ戦でも登板。ピンチを切り抜け、ガッツポーズと咆哮を見せた。
林凱威(リン・カイウェイ)背番号18
台湾のセットアッパー。150キロを超える回転数の多いストレートとスライダーが武器。ドミニカ戦でも投げ、1イニングを無失点に抑えた。
黃子鵬(ホワン・ズーポン)背番号69
WBCではオランダ戦に登板した。2022年のCPBLで最優秀防御率賞に輝いたアンダースロー投手。ドミニカを相手に6回まで1四球のノーヒット・ノーラン。オープニングラウンドを7イニング以上投げノーヒットを継続した。
スーパーラウンドでは初戦のベネズエラに先発。ペレスにツーランホームランを打たれ負け投手となった。
張 奕(ジャン・イー)背番号19
西武ライオンズに所属した張 奕(ジャン・イー)は30歳の元NPB投手。プレミア12では3試合4イニングに登板し、防御率0.00の活躍。貴重なセットアッパー。
その他、王志煊(ワン・ジーシェン)背番号64はアジアCSの韓国戦で登板し0点に抑えた23歳の横手投げのサウスポー。今期も58試合に登板し、防御率1.49の好成績。70%以上がストレートを投げる。左封じでオープニングラウンドでも佐野恵太を見逃し三振。
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捕手
昨年よりパワーアップした投手陣を支える捕手。大砲不足の台湾の中でキャッチャーに長打力があり試合の鍵を握る。
戴培峰(ダイ・ペイフォン)背番号95
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名前:ダイ・ペイフォン
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所属:富邦ガーディアンズ
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生年月日:2000/01/07(24歳)
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身長:182cm
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投打:右投左打
アジアCSの日本戦でマスクをかぶった24歳。強肩で投手のストロングポイントを引き出すのが上手く、台湾野球の未来を担うホープ。課題のバッティングを克服し、台湾の正捕手になれるか。今季CPBLでは捕手部門のゴールデングラブ賞を獲得。
プレミア12オープニングラウンドの日本戦では北山亘基からホームランを放った。打撃練習でも柵越えを連発。
吉力吉撈・鞏冠(ジリジラオ・クンクアン)背番号4
台湾原住民のパイワン族の出身で2023年の台湾プロ野球のホームラン王、WBCでも活躍した30歳の吉力吉撈・鞏冠(ジリジラオ・クンクアン)。今季もリーグ2位の本塁打数。プレミア12では代打かDHで出場し、1本塁打4打点の活躍。
林家正(リン・ジャーチェン)背番号27
台湾代表の正捕手。台湾人として初のMLBドラフト指名を受けた。ダイヤモンドバックス傘下のマイナーに所属。プレミア12は6試合で1安打と苦しんでいたが、スーパーラウンドのアメリカ戦でタイムリーを含む2安打の大活躍。
内野手
林立(リン・リー)背番号83
WBCのオランダ戦で同点タイムリーを放った二塁手。2022年のCPBLで打率、打点、本塁打の打撃3部門でトップに立ちMVP。今季も台湾プロ野球で打率.353で首位打者のタイトルを獲得。
ドミニカ戦で決勝点となる犠牲フライを打った。
江坤宇(ジャン・コンユ)背番号90
ショートでは守備の名手で今季ゴールデングラブ賞を獲得。24歳と若く、林立(リン・リー)と二遊間を守る。ドミニカ戦では9番ながら先制ホームラン。台湾は安打力のある李凱威(リー・カイウェイ)も二塁手で今季ゴールデングラブ賞を獲得し、同ポジションで大渋滞が起きている。
オープニングラウンドのドミニカ戦では先制のホームラン。スーパーラウンドのベネズエラ戦では守備でファインプレー。
潘傑楷(パン・ジェカイ)背番号35
打撃に優れるサード、ファースト。プレミア12は6試合で7安打と好調。スーパーラウンドのアメリカ戦でホームランを放った。
岳東華(ユー・ドンファ)背番号58
内野も外野も守れる29歳のユーティリティ。スーパーラウンドのアメリカ戦では二塁手で出場し、タイムリーを放った。
張政禹(チャン・ジェンユィ)背番号9
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名前:チャン・ジェンユィ
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所属:味全ドラゴンズ
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生年月日:2000/06/08(24歳)
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身長:178cm
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投打:右投左打
ショートに同学年の江坤宇(ジャン・コンユ)がいるためスタメンは厳しいが、アジアCSで活躍した張政禹(チャン・ジェンユィ)は守備で魅せる遊撃手。強振が多い台湾の中で振りがコンパクト。国際大会で最も重要なものを備えているため、活躍を見たいところ。
外野手
27歳の林安可(リン・アンケ)は長打力が持ち味で今季はリーグ3位のホームラン。スーパーラウンドの日本戦の9回に横山陸人からホームランを放った。
邱智呈(チョー・ジーチェン)背番号14
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名前:チョー・ジーチェン
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所属:統一セブンイレブンライオン
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生年月日:2000/11/26(23歳)
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身長:168cm
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投打:左投左打
168センチと小柄。俊足の23歳は今季の台湾プロ野球で最多安打(145本)のタイトルを獲得。168センチの体格から鋭いスイングを見せる。アジアCSで2番打者として出場し、3位決定戦のオーストラリア戦では先制打を放った。
陳傑憲(チェン・ジェシェン)背番号24
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名前:チェン・ジェシェン
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所属:統一セブンイレブンライオン
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生年月日:1994/01/07(30歳)
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身長:173cm
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投打:右投左打
2017年アジアCS、オランダ戦で印象的な三塁打を放った2023年のWBC、29歳のオーバーエイジ枠で出場したアジアCSに出場したMr.台湾代表。昨年のアジアCSでは2打点と勝負強さを発揮し、DH(指名打者)部門でベストナインを受賞。毎回バットの色が変わり楽しませてくれた。オーストラリア戦でタイムリーを放った際に塁上で咆哮した姿はメキシコ戦の大谷翔平を思わせた。気合とイケメン・スマイルでチームを牽引し、今大会もキャプテンに就任。今季の台湾プロ野球でも打率.334でリーグ2位、センターでゴールデングラブ賞を獲得。
第2戦のドミニカ戦でも猛打賞に加え盗塁も決めるなど大活躍。スーパーラウンドのベネズエラ戦でも猛打賞と絶好調。
陳晨威(チェン・チェンウェイ)背番号98
WBC代表にも選ばれた26歳の陳晨威(チェン・チェンウェイ)は台湾屈指のスピードスターで盗塁王。安打数もリーグ2位と大活躍。韓国戦ではグランドスラムを放った。
曾頌恩(ツォン・ソンエン)背番号32
台湾シリーズでの活躍を受けた追加招集からクリーンアップまで駆け上がった24歳の指名打者。5試合で2打点を上げ、ベネズエラ戦では4番でスタメン出場。スーパーラウンドの日本戦でも4番レフトで出場し、1打点を挙げた。
【離脱】古林叡煬(グーリン・ルイヤン)
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名前:グーリン・ルイヤン
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所属:統一セブンイレブンライオン
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生年月日:2000/06/12(24歳)
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身長:184cm
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投打:右投右打
「火球男」と呼ばれる台湾を背負う24歳のエース。158キロのストレートとカーブ、チェンジアップを武器にし、コントールも抜群。台湾の全投手でスピン量がナンバーワンで今季のCPBLでも最優秀防御率(1.66)に輝いた。昨年のアジアCSで侍ジャパンを相手に6回途中まで完全試合。被安打3、失点1の好投。マウンドでの躍動はチームに力を与え、全盛期の菅野智之を彷彿とさせるエースの風格。アジアCSからさらにパワーアップした投球を愉しみにしていた矢先、台湾シリーズ中の背中の張りにより離脱が決まった。
2024年世界棒球プレミア12台湾代表 |
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監督 |
曽豪駒 |
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コーチ |
高志綱 (チーフ兼捕手) |
張建銘 (外野守備) |
林岳平 (投手) |
高國輝 (打擊) |
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王建民 (ブルペン) |
劉品辰 (フィジカル) |
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彭政閔(打擊) |
洪全億 (トレーニング) |
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陳江和 (內野守備) |
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選手28人 |
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投手 (13人) |
古林睿煬 |
張奕 |
王志煊 |
莊昕諺 |
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江國豪 |
陳冠宇 |
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吳俊偉 |
陳冠偉 |
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林昱珉 |
陳柏清 |
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林凱威 |
黃子鵬 |
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邱浩鈞 |
潘文輝 |
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捕手 (3人) |
吉力吉撈.鞏冠 |
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林家正 |
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戴培峰 |
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內野手 (7人) |
張政禹 |
岳東華 |
朱育賢 |
林立 |
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江坤宇 |
潘傑楷 |
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李凱威 |
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外野手 (5人) |
邱智呈 |
陳晨威 |
林安可 |
陳傑憲 |
※古林睿煬、邱浩鈞、潘文輝は離脱。代替えで、郭俊麟(投手)黃恩賜(投手)、曾頌恩(外野手)が召集。WBCで最下位になったにもかかわらずプールAのMVP、一塁手部門のベストナインに選ばれた張育成(ジャン・ユーチェン)は怪我が回復せず選出ならず。
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