1993年、日本初の開閉式ドームとして誕生し、2013年にはWBCの1次ラウンドの開幕球場となった福岡ドーム。東京ドーム以外でWBCが行われた日本で唯一の球場である。セ・リーグは6球団すべてが本州にあるが、パ・リーグは北海道、そして福岡と日本を縦断する。最南端が福岡ドーム。
場所は福岡市中央区地行浜。最寄駅は唐人町(とうじんまち)駅。博多駅から地下鉄で11分と少し離れている。唐人の由来は定かではないが、中国との交易が関係している。
球場が博多湾に面している。その先には玄界灘。野球場は川や海の近くに造られる。東京ドームの神田川、横浜スタジアムとZOZOマリンの東京湾、ナゴヤドームの矢田川、大阪ドームの木津川、広島の猿猴川(えんこうがわ)、そして福岡ドームの博多湾。川は流れ、野球も川や海を下って交流する旅人のスポーツ。福岡ドームは野球が流れ者であることを強く感じさせてくれる。
食の街・福岡。球場の周りを23時半まで営業している居酒屋「鷹正」の赤提灯が囲み、ドーム内の球場メシは「スタジアム横丁」で全支配下選手のコラボグルメがある。
4軍まであるソフトバンクならではあり、圧倒的な強さの一端となっている。
高さ68mの屋根。グラウンドを見渡すとコンパスで描いたような真円形のコロシアム球場。最も平成の匂いがする野球場。初めて来るのに懐かしさすらある。東京ドームと双子のような球場。93年に開場しているので設計や着工時点は東京ドームを参考にしたのだろう。ただし、東京ドームのように階段の登り降りがなくコンコースを一周できるのは観やすい。
野球場は楽天、広島、日ハムなどのボールパーク化が進む。巨人とホークスのセ・パ2強はクラシカルな球場がいい。Bon Joviの『Because we can』が似合う力強い雰囲気。両翼100m、中堅122m。フェンスの高さが4.2m。ナゴヤドームの4.8mよりは低いが、それでも高身長に感じる。観客の収容人数は40,062人。
気になるのは昔の甲子園のようなラッキーゾーン。1試合しか観ていないので判断ができないが、試合を面白くしているのだろうか。ホームランテラスに客席を設けることで収益につなげるのは理解できるが、パ・リーグの王者ホークスとしては、パワエリートしか本塁打が出にくい威厳を見せてもいい気がする。
何より気になるのはエキサイティングシートに当たるグラウンド席。レフト、ライト共にファウルゾーンがほとんどない。観客にとっては迫力のある席だが、これは野球の面白さを奪っている気がする。
福岡ドームができて30年を超えた。ジャイアンツの東京ドームは移転が濃厚になっている。プロ野球はしばらくホークスの天下が続くだろう。盟主として福岡ドームはどのような変遷を見せていくだろうか。
2024年8月27日(火)
プロ野球12球団の本拠地巡り、その最後となるのが福岡ドーム。その最後を飾るのが王者ホークスのお膝元。前日まで別府の泥湯に浸かり、朝も硫黄泉に浸かって別府からJR特急ソニックに2時間たっぷり揺られ博多へ。「らるきい」でぺぺたまに舌鼓を打ち、福岡市美術館に行ったあと、一宿の世話になる平和台ホテル荒戸でシャワーを浴びて福岡ドームへ。
ホテルを出ると雨が降っていたが、20分も歩くと太陽が出てきた。お天道様もペナントレースを祝福する。階段を登って球場へ行く興奮がいい。剣闘士たちのコロシアムに向かうローマ人になった気分だ。
8月最後の福岡ドーム、明日から長崎に遠征。平日とはいえ空席が目立つ。
首位をひた走り圧倒的な強さだが、強すぎるがゆえに面白みに欠けるのか、それともスター選手がいないのか。やはり野球のメッカは東京なのか。しかし、試合が進むにつれ席が埋まっていく。プロレスと同じく、西になるほど(沖縄が近づくほど)のんびり屋。
球場メシは『ギータのチキンガーリックライス』1450円。フルスイング級の美味さ。ニンニク・マッドネスにとってコーラが一瞬に消える。ドームドックとコーラを追加した。
球団マスコットのハリーはグラブをつけて今宮健太のキャッチボールの相手を務める。爆笑担当つば九郎、癒し担当スターマンと違い、マスコットも巻き込んでの全員野球。さすがホークス。
オリックスは二桁本塁打がいない強烈な打線。9人全員足してもアーロン・ジャッジ一人より少ない。これで最下位じゃないのが凄い。先発・田嶋大樹は絶滅危惧種のワインドアップ。これからも続けてほしい。
プレミア12でキューバ代表として侍ジャパンを相手に投げるかもしれないリバン・モイネロ。パ・リーグ唯一の防御率1点台。
初回の立ち上がりが悪く、2アウト満塁から押し出し。しかし、この1点で抑えたのが驚異。日本戦で投げれば脅威となる。
井端弘和監督のお気に入りの紅林弘太郎は飛ばないボールに苦労している様子。
187cmの大型野手だからこそ長打を求められるが、フェンス手前で失速する。
宇田川優希は惚れ惚れするパワーストレート。こういうリリーフが侍ジャパンにいたら心強い。これは打てん。なぜ今シーズンくすぶっているのか謎。宇田川優希はプレミア12でも観たいが、どうなるか。
近藤健介は磐石の2安打。今年、パ・リーグ唯一の3割打者になりそうだ。プレミア12のレフトは決定。
まだ3番がネクストバッターズサークルに立ってないのに待ちきれずグラウンドに出るアグー。5月の西武ドームから変わっていない。ちびっ子から圧倒的な一番人気。こういう野球小僧が侍ジャパンに重要。DHはアグー。
隣のお客さんは麦わら帽子が似合うチャーミングなおじいちゃん。かなり高齢で足が悪く月に1回くらいの観戦。ピンクのナイキのリストバンドを着けた売り子さんを応援。4杯ビールを買う。帰りは足元フラフラ。階段を降りるのが危ない。おじいちゃんはそれでも来月も野球場に来る。福岡ドームに来る。我らが誇る野球ファン。
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— YAMATO (@yamatoclimber) 2023年11月9日
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