野球ファンには共通の季語がある。「夏のベルーナ」「夏の西武ドーム」
西武球場に屋根をカポっとかぶせた西武ドームは小籠包の蒸籠(セイロ)のように選手・観客を苦しめる。その噂を確かめたくて2023年8月26日(土)、高田馬場から西武球場前に向かった。数年前までは登山で利用していた西武電車。駅構内はライオンズブルーに染まっている。
横浜スタジアムも駅から近かったが、駅近球場でベルーナドームの右に出るものはない。改札を出れば球場は目の前。ドームじゃなかったら駅にボールが飛び込むだろう。
比較的この日は涼しい日だったが、蒸し風呂なのがよくわかった。風がないと汗が噴き出る。密閉されているから空気が重い。ちびっ子、じいちゃんばあちゃん、スマホで競馬中継を見てるおっちゃん、大谷翔平のエンゼルスのTシャツを着た年配の夫婦。 野っ原の匂い、昭和の野球臭、昔のパ・リーグ感が残る。やはり野球場はそれだけで素晴らしい。来てよかった。
アレックス・カブレラが放った180メートル弾の記念プレート。今後、日本人で現れるか。
屋台が立ち並ぶのも食欲をそそる。さあ球場メシ。
会社の熱狂的なライオンズファンに教えてもらったライオンズ焼き。冷やしあんこが夏に涼をくれる。対戦相手によって味が変わる日本ハムの「きな粉あん」はイマイチ。スタンダードなあんこが一番。
今日一番の目的、WBCでは大谷翔平に気を取られてきちんと見れなかった。
ベルーナ名物・球弁(きゅうべん)の『箸とまらん弁当』1,800円。大分名物のとり天。しかし、明太子ご飯と漬物が一番うまい。
狭山ほうじ茶のソフトクリームも買って観戦。こんなんナンボあってもいいですからね。
コーラもライオンズブルー。コーラは赤やろというツッコミは野暮か。
試合開始前に髙橋光成が登場。2014年のドラフトで巨人に来て欲しかった投手。10年越しにピッチングが見られる。
今年の日ハム戦は3登板で防御率0.75の怪物スタッツ。どんなピッチングを披露してくれるか。
おかわり中村剛也は同じ体格の4番・渡部健人をイジる。西武は相撲部屋のような体格が多い。アグーが居ないのが寂しすぎる。
大好物の粉もん、ロジンの妖精・伊藤大海が登場。大谷翔平と同じカラーボールを使った壁あてのルーティン。WBCの影響か。
中国戦では9回にクローザーで登場してくれたが、試合前のアップを見るのは初めて。キャッチボールでロジンバッグを使う投手なんて初めてみた。セルフブランディングが完璧。
野球というスポーツが特殊なのは「ショート」の存在だろう。一塁から三塁まで合計3人でいいところを、なぜか二、三塁の間にショートストップという第四の存在を置いた。ベースボールの草創期、ショートは外野手からの送球を受ける中継としての役割だっという。また、打者によって二、三塁間や、一、二塁間など守備位置を変えたとも言われる。
その役割を指して「ショートストップ」を「遊撃手」と訳した中馬庚(ちゅうま かなえ)の感覚は鋭い。今、日本を代表する遊撃手といえば坂本勇人を殿堂入りさせれば源田壮亮。今日はファインプレーを見せてくれるか。
17時プレイボール。髙橋光成は2週間ぶりの復帰登板で本調子からは遠い。3回7失点の安土城なみのスーパー大炎上。
それよりピッチングフォームが前橋育英のときと印象が全然違う。ダイナミックなフォームと思っていたが、かなり省エネ。風貌といい、山口俊みたいだ。成績が良いので、これが合っていると思うが、ダイナミックなフォームが好きなので少しガッカリ。
絶好調の清宮幸太郎には左右に打ち分けられる。バッティングセンスは非凡。才能が爆発したらどんな打者になるのか。BIG BOSS次第。
まだ23歳の野村佑希も豪快なホームラン。日本ハムの二本刀が目覚めればすごい打線になる。3年後のWBCに選ばれるかもしれない。
うれしい誤算が4番にアリエル・マルティネスを使ってくれたこと。WBCキューバ代表。あまり活躍できなかったが、その打撃は魅力。捕手でこれほどのバッティングができるれば大きな戦力。見れてよかった。
一方の西武打線はダメダメ。特におかわり。諦めの早い走塁など、バッティングにも覇気がまったくない。アグーを出せと叫びたくなった。
対照的にリードオフマンの源田壮亮は大活躍。スラッガーと同じキャッチャー寄りに立っているのは意外だった。
安打を放てばWBCの韓国戦でも披露した盗塁。
余裕の盗塁成功。足で引っ掻き回せると強い。そして源田の代名詞の守備。
ショートが良いと試合が引き締まり、グッと面白くなる。
フィールディングもすごいが、よほど体幹が強いのか、なんでこの態勢から、あんな正確な送球ができるのかわからん。
この日もファインプレーを魅せてくれた。安定感が半端ない。
この日の主役は伊藤大海。テークバックは目いっぱい右腕を伸ばし、左腕を顔の高さまで上げる。北海道の広大な大地のように全身を使った伸び伸びとしたフォーム。
オーソドックスな投球フォームなのにメチャクチャかっこいい。176センチより大きく見える。フィニッシュのフォロースルーなんか千両役者。
プロ初の無死球完封7奪三振。
本人も言うとおりリリーフ向きの投手なのに先発やらしても最高。ストレートでグイグイ押すから決め球のスライダーやフォークが活きる。投手とは何かを物語るピッチングを披露してくれた。
ベルーナドームは試合終了後にグラウンドに降りられるのがありがたい。選手が戦っていた神聖な場所だけど、ファンからすればうれしいサービス。
ちびっ子が多いのも納得。ただし、この芝でダイビングキャッチは怖い。
ベルーナドームの天井を使った世界最大のプラネタリウム。
なんたるエンタメショー。素晴らしきファンサービス。
この企業努力は12球団イチではないか?
最後に西武ライオンズの獅子座が現れると大歓声。見事なオチ。
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— YAMATO (@yamatoclimber) 2023年11月9日
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