2023年の夏、宮城大弥を観るために大阪行きを決めた。毎週水曜日に登板するはずなので事前に往復の深夜バスと一塁側の席を予約。
京セラドームは2010年9月25日、ロッテの西岡剛がシーズン200安打を達成した日から13年ぶり。朝から甲子園で2試合を観てドーム前駅に移動。開場まで1時間半あるので金毘羅の湯という銭湯に入る。
16時、開場と同時に球場入り。この日は満員御礼。昔はお盆休みといえば15日までだったが、いつの間にか16日も休みのようだ。年配の観客が多いが小学生の集団もいる。親はいない。近所なのか、最近の子どもはずっと大人びている。大阪ドームはまるで宇宙船のような天井。宇宙人が降臨してもおかしくないが、半年前に大谷翔平というユニコーンが降臨した。京セラドームはペッパーミルが生まれた地として語り継がれる。3年後はどんな伝説が生まれるのか。本戦はもちろん、強化試合も行きたい。
席に着くとソフトバンクの打撃練習。柳田悠岐がスタンドに放り込む。豪快さで言えば日本人のスケール感を超えている。メジャーに行かなかったのが不思議で仕方ない。
近藤健介も貫禄のスタンドイン。WBCのMVPは大谷翔平と吉田正尚と近藤健介の3人にふさわしい。4番タイプではない気がするが、藤本監督の意図があるのだろう。打撃練習を見届けたら球場メシを求めてコンコースへ。
座席の幅とほぼ同じ長さ、30センチを超える『いてまえドッグ』今日は席が真ん中なので途中で抜け出しにくい。ドリンクも3つ先に買っておく。味はともかく、コンセプトが素晴らしい。ネーミングも抜群で大阪ドームの名物にぴったり。次回も買うだろう。
オリスカはちょっとイマイチ。甘さを重視しているので清涼感が足りない。
前回のZOZOマリンで見逃した山本由伸の大遠投。これを観られただけでも価値がある。リリーフから先発に転向した2019年から行うルーティンは今も名物。軸足の感覚、重心移動などを確かめる。約100メートルの距離を助走なしで、しかも低空飛行でキャッチャーミットに叩き込む弾丸は圧巻。
異次元のキャノンアーム(鉄砲肩)は来年、大谷翔平のバッティング練習に続いてメジャーリーガーを驚愕させ、アメリカの観客を魅了するだろう。
しかし、この日の山本は台風で登板日が1日ズレた影響か、本来の球速、キレがない。
最高球速は155キロ。十分すごいが山本にしては物足りない。球が次々と甘いコースに入り、初回からヒットを許す。
それでも近藤健介を三振に斬ったカーブの曲がりと緩急はエグく、ソフトバンク打線を手玉に取る。不運にも味方の守備のミスが重なり5回までに3失点。5回110球、被安打7、奪三振5、四球3の内容。それでも自責点は0と貫禄のピッチングを見せてくれた。調子が悪くてこれはありえない。ここまで「エース」という形容が相応しいのは上原浩治や菅野智之くらいか。
そして、ここからはWBCタイム。甲斐はスピードに注目されがちだが、送球の安定感がすごい。二塁や一塁へ必ずストライク送球。ミスる空気がない。WBCの本戦で観られなかった牧原大成は4打数ノーヒットで活躍なし。
目を引いたのは7回に代走で登場した周東佑京。
盗塁は仕掛けなかったが、180センチの長身で70キロちょっとしかない身体は余計にスリムに見える。しなやかな身のこなしも合わさって、まるで風が抜けていくよう。
代走のスペシャリストのイメージが強いが、俊足は外野の守備でも活きる。3年後のWBCでは30歳。果たして代表入りできるか。少なくとも来年のプレミア12では見たい。
そして超ラッキーだったのが9回に1点リードされる場面で宇田川優希が登場。WBCではランナーを背負った場面でのリリーフは伊藤大海、湯浅京己、そして宇田川祐希と決められていた。しかし、伊藤のような図太さとは真逆のデリケートでガラスのよう。
とてもランナーを背負った場面に強いピッチャーとは思えないが、誰よりも繊細だからこそピンチに向いているか。奥が深い。宇田川は野球に愛される何かを持っているのだろう。
ストレートは150キロ台前半。まだ本調子ではなさそう。それでも140キロ前半の落差の少ないフォーク。三振を奪いにいく弾丸フォークの使い分けは魅力。なにより184センチの体躯より大きく見える。そして重厚感。迫力がボールに乗るかの球の走り。この日は26球を投げ、四球1、三振0。無失点で抑えた。
プレミア12ではどんな活躍を見せてくれるか。今後に注目したい。
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— YAMATO (@yamatoclimber) 2023年11月9日
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