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ベースボール白書

野球観戦、野球考察。活字ベースボールを届けます。『WBC 球春のマイアミ』をリリースしました。

西武vs.ソフトバンク〜黄金週間のベースボール

みどりの日の意味は知らないが、野球を観るなら深く澱んだ緑のベルーナドームがふさわしい。新宿から西武線に揺られて387円。朝10時50分に西武球場前駅に着くと、抜けるような青空が迎え入れてくれた。

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首位と最下位の対決。本塁打王の山川穂高、近藤健介、柳田悠岐。日本を代表するホームランヒッターを擁するホークス。ライオンズはこれといった打者がいない。まんべんなく全員でコツコツとホームランを積み上げる。何もかもが対照のチーム。ただしホームランの数は1位と2位。

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バックネット裏5,000円の席に着くとギータが打撃練習。すぐ後に近ちゃんも続く。練習を見る限り、好調だったのは栗原陵矢、三森大貴のふたり。愉しみにしていた山川のバッティングはなく、すでに終えていた。

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空中戦を阻止せんと黄金週間に挑むのは両チームのエース。ソフトバンクはリバン・モイネロ、西武は今井達也。ともにチームトップの防御率。モイネロは1.64、今井はリーグ1位の0.77。モイネロは今シーズン2本被弾しているが、今井達也はここまでホームランを打たれていない。

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両エースの投げ合いはプレミア12の侍ジャパンvs.キューバで再戦があるかもしれない。前哨戦として最高の舞台を用意してくれた。

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13時プレイボール。夜行性のプロ野球選手にとって調子が出ないのか、両エースとも球威がない。三振が奪えず打ち合い。ここまで西武との対戦では防御率0.66と、大のお得意様であるはずのモイネロは、決め球のカーブを狙い打ちされる。この中で侍ジャパンに選ばれそうなの野手は源田壮亮くらい。それでも7回115球4失点。失策も絡んで自責点は1だがエースのピッチングには遠かった。

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プレミア12で佐々木朗希に次ぐ右腕となってほしい今井達也はストライクが入らず安定のボール先行。球速も上がらず153キロ止まり。チームのためにトレードマークのラインオン髪をカットしたが、爽やかイケメンになったことで球威も剃り落としてしまったのか。マウンド上で何度も首を傾げる。

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圧巻は7回。ランナーを三塁に置くピンチで柳田悠岐を迎えてからギアを一気に上げた。本来のキレが戻る154キロの発射。犠牲フライは打たれたが、尻上がりにギアを上げる様は、無双していた頃の菅野智之を彷彿させた。

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モイネロと仲良く被安打8を浴び7回120球の力投で3失点。なんとか試合を作り、チームのサヨナラ勝ちにつなげた。オールスター、プレミア12へと駆け上がって欲しい。

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期待していた山川穂高への大ブーイングはなく、アグーも4タコで活躍なし。しかし、試合前の守備練習は誰より愉しそうにこなす。全体練習が終わったあと独りグラウンドに残って素振り。試合では3番のギータより先にネクストバッターズサークルに行って素振り。

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西武時代からのルーティンか知らないが、しばらく野球ができなかった鬱憤を晴らすというより、チームへの責任感、そして活躍することが古巣への恩返しであることを自覚している。こういう選手がプレミア12に欲しい。

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最大のディープインパクトを残したのが周東佑京。よほど調子を崩さない限り、侍ジャパンの1番センターは決まりだ。今井の150キロの初球を振り抜いてヒットにした気合いも見事だが、打撃技術が去年より向上している。28歳の全盛期。先頭で出てサクッと盗塁、ゴロアウト2つで1点入ってしまう。アウトなのに得点が入る野球の特殊性を最も活かせるチート。相手が好投手だと余計に頼もしい。

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盗塁の瞬間もロバート・キャパのようにピンボケしてしまう。槍のような鋭く美しいスライディングする選手をはじめて見た。観客からの「走れ」コールに応えて2盗塁。野球は足のスポーツ。もっと走ってナンボ。この日は両チーム合わせて6以上の盗塁企図。気持ちの良い試合だった。

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ペナントレースに興味はないが、ソフトバンクのチームバランスは見事。まだ5月だが、ぶっちぎりで独走するだろう。そして山川、周東、牧。昨年のWBCで控えだった野手がプレミア12で躍動するのは間違いない。