2013年10月。風に吹かれて仙台にやってきた。退職する会社から有給を使い切るように言われ、木曜日に休みをとった。正午には小雨が降ったが、15時になると青空が広がり強烈な太陽が駅の西口から昇ってきた。
WBCの余熱を受け、野球熱が沸騰し11球団の試合を野球場で観戦。残すは1球団のみ。
楽天モバイルパークに行くにはJR仙台駅の東口を出て宮城野通り、別称「イーグルロード」を直進する。柔道一直線、東大一直線より真っすぐな道。
道中には楽天らしいコカ・コーラの自販機もある。
20分も歩けば入場ゲートが見えてくる。『Take Me Out to the Ball Game』が流れ続け、外観は日本の球場で最もボールパーク感がある。
入場すると目の前にチームショップ。商売繁盛。さすが楽天市場。
野球場でピンクの外観は珍しい。雰囲気的に台北の天母棒球場に似ている。仙台の野球というと近年のイメージがあるが、前身の宮城球場は1950年の開業。日米野球でジャッキー・ロビンソンやジョー・ディマジオもプレーしている。東北の学生野球にとっては古くからのメッカ。
観戦するダグアウト席はGATE1。ここだけ特別待遇でテンションが上がる。
16時開場。夢が広がる。まさにボールパーク。楽天モバイルパーク宮城は2016年に生まれ変わった。全面の天然芝、外野フェンスの一部を低くし、スコアボードも全面LED化。スマイルグリコパークの観覧車と共に日本で一番のボールパークが完成した。
ダグアウト席はネットがあるが、とにかく近い。地方球場の良さである。
目の前にはBIG BOSS。
座席に座ると係のお姉さんが挨拶にやってくる。フリードリンクで飲み放題。
綺麗なお姉さんがドリンクを運んでくれる。至れり尽くせり。
今日の楽天の先発は早川 隆久。願ったり叶ったり。パ・リーグで一番好きなサウスポーを見られるとは。
日本ハムの守備練習。久しぶりに見る森本稀哲コーチ。
豪快に外野ノックを空振り。一発ギャグで選手をなごませる。
球場メシは『浅村 栄斗の牛タン弁当』1,450円。2023年最後の選手弁当。今年、弁当を買った選手はほぼ全員欠場というギャグみたいな呪いがかかった。今日の浅村にかける期待は大きい。
楽天モバイルパークは収容人数3万1272人。台北にある天母棒球場を豪華にしたボールパーク。
色が鮮やか。ボールパークはこうであって欲しい。あとは来年、エスコンフィールド、福岡ドーム、マツダスタジアムを残すのみ。
グリコの観覧車も粋な演出。素晴らしいスポンサー。
三塁側がホームというのが良い。 野球は三塁側が一番観やすい(右ピッチャー、左打者が多く表情が見えるから)。ホームは三塁側にすべきが昔からの持論。しかし、今日は一塁側。大事な理由がある。
25本塁打の万波中正。1本差でロッテのグレゴリー・ポランコを追う。
レフト側では早川がピッチング練習。
マスコットも応援する。今日、負ければBクラスが決定。
念願の対面・早川隆久。8月22日以来の1軍マウンド。
最速は150キロを超えるがコースが甘い。消化試合とはいえ、日本ハム打線に捕まる。
ルーキーのときに惚れた気迫ある顔面が見られない。印象が随分と違う。
日ハムの2番は恐怖の万波。メジャー式の打順。
村上宗隆がアジアプロ野球チャンピオンシップに出ないなら日本の四番は万波中正。この空振りなんかスケール感バツグン。ホームラン王にはなれなかったが、見事なスラッガーだった。
3番の清宮幸太郎。この日ヒットは無かったが日本ハムの1,2,3番コンビは恐怖。全員が覚醒すれば12球団最強の初回が実現する。
日本ハムの先発・20歳の根本 悠楓(はるか)伸び伸びしたピッチング。CS進出に力んでいる楽天と違い、リラックスして投げられる。3回まで1安打に抑えた。
めちゃくちゃ楽しみにしていた辰己 涼介は3打数ノーヒット。
若いのに覇気がない。7番に甘んじているのも仕方ない。単に不調なだけならいいが。
巨人から出て行った炭谷銀仁朗。楽天を選んでよかったのか。
この日はヒットなし。打てるキャッチャーがいないとチームが勝つのは厳しい。
極寒の仙台。風も強い。しかし、それは相手も同じ条件。東北vs.北海道。寒さには強いだろう。
早川は3回を投げて被安打5の3失点。三振は7と多い。来年は大活躍してプレミア12で見たい。
4回から内星龍、21歳。履正社出身。
山本由伸の投球フォームを完コピし、大谷翔平のように雄叫びをあげながら投げる。
大谷翔平のように雄叫びをあげながら投げる。
2アウト一、三塁のピンチを見事に抑えた。11月のアジアプロ野球チャンピオンシップに選ばれるか。
内の気迫に応えたのが浅村。待ってました。
ストレートを振り抜いた打球はグングン伸びてレフトスタンドへ。順風をうまく利用。初めて選手弁当、買った効果が出た。
これでチームに勢いが出た。四番の鑑。12球団で一番「かっ飛ばせ」という言魂が似合う打者。フォロースルーのカッチョよさも坂本勇人と双璧。
ホームラン・アーティストは放物線の美しさに加えて、ベースを一周するときのカッコ良さも際立つ。セ・リーグの打者に足りないのはコレ。浅村栄斗は三塁をまわるときが絵になる。
5回に満塁のチャンスで再び打席。
身体を泳がせながらセンター前に落とす。勝負強さがヒーロー。最高の四番。
岡本和真に足りないものを持っている。ポランコを抜いてホームラン王になってほしい。
6回には運良くWBC戦士をふたり見れた。しかも大好きな台湾代表。
宋家豪。ソン・チャーホウ。特筆した球はないが、ストレートのキレと気迫が素晴らしい。さすが台湾代表。WBCでも大活躍だった。
1回を投げ三者凡退。2番の万波も空振り三振に斬ってとった。
更なるご褒美は王柏融。
技ありのライト前ヒット。来季はどうなるか。
ダイナミックさでは12球団でナンバーワンかもしれない安楽。ヒットを2本打たれたが0点に抑える。
昭和の野球ファン的な観点だが、浅村栄斗は三振してもカッコいい。
豪快なので、アウトになってもチームが落ち込まない。徳光さんが岡本和真に注文をつけて批判されているけど、これに関しては同意見。
野球の神様からのご褒美。9回裏、松井裕樹が登場。
このWBC戦士を観るために仙台まで来て一塁側をとった。
特徴ある投球フォーム。胸を目いっぱい反らすダイナミックさ。
150キロを超えるストレート。変化球は際どいコースで勝負する。
清宮との対決でボール球でも気合いに釣られて直球で空振り三振。これぞストッパー。
勝利の咆哮。最高のクローザー。
自己最多記録を更新する39セーブを挙げ「セーブのシチュエーションは仲間が作ってくれるもの。僕ひとりの力ではどうにもならない」
守護神は「神」がつくように、短いイニングを投げるからこそ、チームや試合全体を見渡す広い視野が問われる。
BIG BOSSの今季最終戦。やり切った笑顔。日本ハムは投打ともに若手の宝石箱。将来が楽しみすぎる。
プロ野球観戦では日本一の野球場である楽天ボールパーク。これからもイーグルスは東北の大空を羽ばたく。