朝5時32分に起き、6時半にホテルを出る。空は灰色。スパイシーな台湾の香りに湿っぽい匂いがまじっている。雨が近い。帰りにコンビニでビニール傘を買おう。土曜日の街道は人が多い。

7時14分に「華山市場 阜杭豆漿」に到着。先頭が見えないほどの列。100人は超えていそうだ。開店5時半から大行列ができる台湾の朝ごはん。1時間並んだ。5月に広島のゲストハウスで働いていた台湾人の女性が「ぜひ行って」と推してくれた。

豆乳と焼餅で400円。しょっぱ優しくて万国共通の美味しさ。今日のチケットを取れなかった傷心が少し癒える。無事に約束を果たせた。

帰ってホテルに篭って韓国戦の原稿を書く。雨予報だったが今夜は曇り。スポーツバーを探すかホテルのテレビで見るか迷ったが、ホテルで原稿を書きながら見ることにした。しかしロビーで今日の放送のチャンネルを聞くとホテルの放送では映らないとのこと。Amazonプライムを台湾で見るにはVPNが必要。慌てて1047円で契約。バタバタ劇。雨天時の開催日程すら決まっていないプレミア12は色んなことがある。

腹ごしらえにホテルの近くの麺屋「阿桂的店」で排骨(パイグー)麺、600円。帰りにファミマで観戦のつまみにスナック菓子と杏仁茶を買う。スタンバイOK。

プレミア12で台湾代表が勝利すると、台北ドームの前の高層ビル「台北101」には「中華隊WIN」が点灯。ここまで2戦連続で勝利の台湾。侍ジャパンが快進撃を止められるか。球場には3万4882人の観客が集まった。日本の応援団もNPBが30枚ほどのチケットを確保してライトスタンド上段の通路から応援。

台湾は21歳のエース林昱珉(リン・ユーミン)を韓国戦、WBC代表の黃子鵬(ホワン・ズーポン)をドミニカ戦でぶつけた。エース格の才木浩人が投げる日本とは対照。スーパーラウンドに進出できれば作戦は大成功。国際大会における戦略がいかに重要かを物語る。侍ジャパンを相手にする台湾の先発ピッチャーは26歳の陳柏清(チェン・ブォチーン)。マウンドに一礼する美しさが印象的なサウスポー。アジアCSでは門脇誠にタイムリーヒットを打たれた。スライダーを武器に高い奪三振率。今季は防御率3.53。日本は早めにKOしたいところ。
しかし、5番だった栗原陵矢が昨日デッドボールを受け手が腫れ、今日は休養。源田壮亮がショート、紅林弘太郎が栗原の代わりにサードに入る。フル稼働の坂倉将吾をはじめ、選手たちにも宮崎、名古屋、台北と遠征の疲れが見える。アウェーや台湾の大声援とも戦う。ここが踏ん張りどころ。
日本の先発・才木浩人は5回まで0点に抑え、6回も継続。フォアボールと3番の陳傑憲(チェン・ジェシェン)にヒットを打たれ、2アウト一、二塁の場面で交代。5回終了後のグラウンド整備は、先発投手にとって長すぎる休憩でリズムや調子が狂うことがある。ランナーを背負った状態での交代は横山陸人のように打たれる可能性がある。「リリーフとして優秀」と「ランナーを背負った状態でのリリーフとして優秀」は違う。WBCでの宇多川優希や伊藤大海が後者。この試合は鈴木昭汰が見事0点で切り抜ける。
7回からは北山亘基が登板するが、7番キャッチャーの戴培峰(ダイ・ペイフォン)にソロホームランを浴びる。今季の台湾プロ野球(CPBL)では100試合で1本のホームラン。伏兵がホームランを打つのは国際大会あるある。前試合のドミニカ戦では9番の江坤宇(ジャン・クンユー)がホームランを放ったように、1番から9番まで力がある。侍ジャパンの9番である坂倉将吾も広島カープではクリーンアップを務める。
試合は3-1と僅差で日本の勝利。台湾は初回の2つの守備ミスで余計な失点。それがなければ1点差もしくは同点でゲームを進めていた。12カ国でもピカイチである守備のミスが響いた。最大の武器を失うと敗北への最短距離になってしまう。自国開催で日本より何試合もこなしている台北ドームで痛恨の失策。国際大会で重要なのは守備。エラーしても無得点なら影響がないように思えるが、失策はピッチャーの球数を増やし、相手の打順を進めてしまう。野球はボディブローの連続。ダメージが見えない細部に奥深い傷が生まれる。
一方の侍ジャパンは負傷や疲労が出ているなかで宮崎から6試合連続でエラー0。牧秀悟のファインプレーも失点を防いだ。台湾の大声援や爆音スピーカーで思うような試合運びができない中で気を吐いたのがチーム最年長31歳の源田壮亮。ショートに飛んだ打球は8つ。難しいバウンドもきっちりさばき送球ミスもなし。さらには今季143試合で3本しか打っていないホームランのおまけつき。国際大会を数多く知る経験を見事に発揮した。
同じく台北ではライバルの韓国も6点差をひっくり返す大逆転勝利でスーパーラウンドへの望みを灯した。いよいよ明日からは屋外球場の天母棒球場に舞台を移す。4万人に包まれた台北ドームの経験が、これからの侍ジャパンへの大きな推進力になるかもしれない。
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