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ベースボール白書

野球観戦、野球考察。活字ベースボールを届けます。『WBC 球春のマイアミ』をリリースしました。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合

昨年のWBCが彗星のごとく現れたチェコ共和国。これまで点でしかなかった野球の国際大会を「線」の大河ドラマにする。WBSCが定めるランキングで15位のチェコはプレミア12の本戦に出場できないが、その代わり台湾と日本の壮行試合の相手を務める。チェコと日本の野球は「時間の贈り物」である。

監督

パベル・ハジム

パベル・ハジム

監督はWBCに続いてパベル・ハジム。元チェコのプロ野球選手で現在は神経外科医。WBC後も栗山英樹と交流を続け、2026年WBCの監督も務める。昨年の日本戦では大谷翔平から三振を奪ったことをハイライトに挙げ、野球文化の普及こそがチェコのゴールと語った。

投手

ルカシュ・フロウフ(背番号60)はWBCの日本戦で2番手ピッチャーを務めた選手。

オンジェイ・サトリア(背番号35)

日本のファンが楽しみなのは10日の強化試合で先発するオンジェイ・サトリアだ。本職は電気技師。WBCの日本戦で先発。120キロ台のストレート、112キロのチェンジアップを武器に大谷翔平から三振を奪った。

捕手

マルティン・ムジークは内野手との両方の登録。おそらく内野で登場する。

マルティン・チェルベンカ(背番号55)

画像

チェコでNo. 1の選手がマルティン・チェルベンカ(背番号55)。32歳。キャッチャーマスクを被るのがもったいないイケメン捕手。WBCでは全試合に出場。日本戦は4番を務め、佐々木朗希から先制打。米国のマイナーリーグでプレー経験があり、現在はセールスマン。強肩強打で3月の欧州代表で来日したときは国籍の違う投手をリードする難しさのなかで試合を引き締しめた。

内野手

注目がウィリー・エスカラ(背番号5)。WBCで佐々木朗希からデッドボールを脚に受けたにもかかわらず、一塁へダッシュし、試合の進行をスムーズにした。佐々木朗希もロッテのお菓子を大量に持って謝罪に行き、交流を深めた。

マルティン・ムジーク(背番号49)

マルティン・ムジーク

28歳。WBCの中国戦で9回に劇的な逆転スリーランを放った一塁手。WBC本戦出場をかけたスペインとの予選決勝でも逆転ホームランを打っており勝負強い。日本戦は6番ファーストで出場したが3打数ノーヒット。普段はグラウンドの整備をするグラウンドキーパー。3月の欧州代表としても来日した。

外野手

マレク・フルプ(背番号73)

マレク・フルプ

注目は25歳のマレク・フルプ。読売ジャイアンツと育成契約を結び、チェコ出身の選手としてNPB第1号となった。WBCのときは大学生で、佐々木朗希の163キロを弾き返して二塁打を放ち初回の先制点につなげた。高校卒業後にメジャーリーガーを夢見て渡米した野球少年。3月の欧州代表でも来日した。

侍ジャパンシリーズ強化試合

11月9日(土)

プレミア12・チェコ

昼の15時にはドームの上に上弦の月が浮かんでいた。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

グッズ売り場は長蛇の列。宮崎キャンプはガラガラだったが今日の客入りはどうか。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

侍ジャパンにとっては状態を上げ、本戦前に最後のスタメン争いをする場所。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

去年のWBCで大谷翔平などMLB組が合流したのもナゴヤドーム。侍ジャパンにとって優勝へのヴィクトリー・ロード。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

チェコ代表の選手は試合開始1時間前でも半袖短パンで練習。牧歌的な雰囲気が素晴らしい。アレックス・カブレラみたいな丸太の腕。チェコ共和国の人口は東京都より少ない1087万人。1年の半分は寒冷期で10月から4月の平均気温は10度以下。野球には向かない。野球道具も他国のメーカーの輸入に頼るので値段も高い。おまけに取り扱い店舗も少ない。

来日期間中、ドーム前のイオンモールに連日、買い出しに出かけた。侍ジャパンの強化試合だが、チェコも得るものが大きい。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合
プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合

球場メシはナゴヤドーム名物の球弁(たまべん)1500円。紅林弘太郎と清宮幸太郎のKKコンビのためにあるような弁当。見た目の美しさ、作り置きと思えない米とおかずの美味さ。究極の球場弁当。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

打撃練習で柵越え1号を放っていた桑原将志。侍ジャパンのリードオフマンを務める。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

ナゴヤドーム凱旋の髙橋宏斗はコントロールが定まらず失点。最後の3回ではエンジンがかかったので心配はない。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

褒めるべきはチェコの打者。ボイテハ・メンシクは2安打。先制点に貢献。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合

先制タイムリーのマルティン・チェルベンカ。32歳。この選手がいる間にチェコはどこまで強くなれるか。小園や辰己涼介の盗塁も刺した。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合

キンブレルのようなダン・パディサクは24歳。まだまだチェコのエース。

坂倉将吾が塁に出て小園海斗が返す。日南で地獄の秋季キャンプを過ごす若鯉の憧れになるコンビ。小園のねちっこさと打撃センスは相手にとって相当イヤな存在。分かりやすい小技のスモールベースボールより強力。そして今大会の侍ジャパンのキーマンは坂倉。打って走って(盗塁まで)リードして。大谷翔平くらいの仕事量。宮崎キャンプからの好調は維持。こんなに打撃面で頼もしい侍の捕手は久しぶりだ。

辰己涼介はリードオフマンの着火剤もでき、2番のリンクマンも3番のポイントゲッターもできる最強の便利屋。去年のWBCの近藤健介とまったく同じ雰囲気。2安打2四球圧巻のスリーラン。

才木浩人はCSまで稼働したと思えない調子の維持。3回をパーフェクト7奪三振。不動のエースの投げっぷり。プレミア12はMLBのスカウトが日本の投手を品定めに来てるらしいが、米国を騒がさせる可能性大。才木浩人に変わってからチェコは無安打のパーフェクト。

北山亘基も2回をパーフェクト。テンポが早く、高めにチェコの選手が強いと見るや低めに切り替え手玉にとる。北山亘基と古賀悠斗のバッテリーは観ていて気持ちいい。

打撃練習で柵越えを連発していた紅林弘太郎はライトへの流し打ちで安打。リンクマンとして打線を作る。

球場一番人気の清宮幸太郎も二塁打。レギュラー争いで井端監督はどんな判断をするのか。この試合は昔の日米野球を観ている感じがした。日本が先制して3回まで0点に抑えてもメジャーリーガーは2巡目から本領発揮する。F1ドライバーが初めて走るコースでも3周すればレコード出すのと同じ。日本の野球は世界でも横綱クラスになったということ。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合

桑原将志、牧秀悟、栗原陵矢、佐野恵太の日本シリーズ組は、早くチームに貢献しようと力が入り過ぎた印象。逆にあれだけの激闘のあとで積極性が凄い。井端監督が抜擢するだけある。プレミア12を勝ち抜くには、さらに侍ジャパンをアップデートしたいので明日からも4人の力は必要。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合

最後は大勢。フルプとの巨人のチームメイト同士の対決も制し、スピードガンより速さマシマシに見える。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合

今日の観客数は33,758人。去年のWBCの35,897人には及ばないが、それでも素晴らしい入り。プレミア12もWBCと並走する。

11月10日(日)

あやきちゲストハウス

昨夜は栄の駅前の「快活クラブ」のお世話になり、2日目はナゴヤドームから徒歩10分の「あやきちゲストハウス」のお世話になった。ナゴヤドームでイベントがあるときは一杯になることが多い。イベントごとによって値段は異なるが1泊1人4,300円。23時が門限だが助かる。女将もご主人も「自分の家のように使ってくださいね」と言ってくれる。

日曜日なのでこの日は余裕があった。3人部屋でもう一人。カナダから来た男性。MLBが好きで森下翔太のユニホームを着ていた。首都のあるケベック州から来て大阪・京都・奈良を観光後、別府へ。そのあと名古屋で侍ジャパンを見て、翌朝に東京に旅立った。時間があれば東京を案内したかったところ。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合

プレミア12の期間中、ナゴヤドームの駐車料金は当日4000円(前売 3,000円)。ドームの周りでは近隣の方が2000円で臨時駐車場を設営。駐車料金だけで凄いお金が動く。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

昨日はノーサインで選手が自由に動き回った。今日は本戦を想定したサインプレーなど細かい野球を実施。THE HIGH-LOWS『日曜日よりの使者』が流れるなかでチェコ選手がシートノック。チェコの穏やかな雰囲気に合っている。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム
プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

球場メシは期間限定のチェコ料理。カルバサ(ソーセージ料理)、シュニッツェル風(揚げ肉)。1750円。まあまあヨーロッパの味がします。ハムがスパイシーで美味。プレミア12が終わったら東京にチェコ料理の店がないか探したい。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

始球式は荒木雅博。今回のプレミア12は井端監督に縁のある名古屋で開幕。そこに花を添える。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

日本代表が先攻。チェコの先発はロッカールームで作務衣を着る日本贔屓のオンジェイ・サトリア。電気技師で電力会社がチェコ代表のスポンサー。去年のWBCのあと一児のパパになり、夢は日本のプロ野球選手になること。今日は快投をアピールするチャンスだが「第一優先は日本のチームの強化につながること」とコメント。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

初回、4番を任された森下翔太が外角のチェンジアップを引っ張りレフトスタンド。ホームラン性の当たりではないが失速せずスタンドイン。外角の変化球に体が泳ぎながら重心が崩れない。よほど体幹が強いのか。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

日本の先発は早川隆久。先頭打者のメンシクに二塁打を許すが、すぐに修正。ボールにも慣れ、許したのは1安打のみで2回を5三振。オープニング・ラウンドで先発が決まっているが、万全のコンディション。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

3回からの2番手は戸郷翔征。同僚のフルプに四球を与えたが2安打、3三振、1四球。

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宮崎キャンプから初めて打撃練習で柵越えが途絶えた紅林弘太郎。この日は3打数無安打で守備で貢献。戸郷翔征が打たれたヒット性のあたりをファインプレー。そして侍ジャパンが守備につくとき、必ず誰よりも早くグラウンドに出てくる。この姿勢に心打たれる。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

5回は隅田知一郎。師匠の和田毅が地上波の解説を務め気合い十分。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

広島カープとの練習試合ではストレートが高めに浮いて2安打を許したが、圧巻の3者連続三振。本戦ではどこで登板するのか。

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チェコ先発のサトリアが「最もデカく見えた」とコメントした栗原陵矢。身長179センチだが存在感が凄かったという。また、8回の6得点ビッグ・イニングを生んだ導線が村林一輝の送りバント。犠打の成功・失敗が0点にも6点にも変わる。派手なホームランや三振だけではない侍ジャパンの底力。日本が国際試合に強い秘訣。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム、

6回は鈴木昭汰。スライダーのキレがすごい。宮崎キャンプは体調不良で投げなかったが、日本にとって最高の復活。防御率. 0.73は伊達ではない。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

7回は藤平尚真。圧巻の3者連続三振。ストレートだけで空振り。最後にはフォークも織り交ぜたが、強豪相手へのピッチングが楽しみ。強力打線のオーストラリアと勝負してほしい。

重要な8、9回の鈴木翔天、清水達也はコントロールに苦しむ。大会中に修正できるか。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

観客数は23,223人。日曜日にしては十分。数字を足すと12になる。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

この日も先頭打者ボイテハ・メンシクは2安打。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

侍ジャパンに4回1安打3三振の快投を見せたチェコ代表のミハエル・セナイ。2006年7月24日生まれ18歳。第1回WBCのときはお腹の中。来年に米国フロリダ大学に進学。未来のエースにハジム監督はマウンドを託し期待に応えた。チェコと侍ジャパンは2年後のWBC 1次ラウンド対戦が決定済。日本戦で登板するか。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

23時近くまで試合。台湾から日本へと遠征の疲れもある中での試合。チェコ代表には感謝とリスペクト以外の言葉が見つからない。いつか日本代表がチェコを訪れ強化試合の相手を務めることになれば、これほど美しいベースボールはない。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

ユニホームの左胸にはチェコ国旗の他に、強化試合を務めた台湾(チャイニーズ・タイペイ)、日本の国旗。こんな素晴らしい国、今まであっただろうか。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

かつてのメジャーリーガーのように日本もチェコを訪れ野球を普及する日が来れば伝道師の輪が世界に広がる。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

パベル・ハジム監督は2006年の第1回WBCを東京ドームで観戦。その後、大学野球やリトル・リーグも観て日本の野球を学んだという。その努力と想いが17年後のWBC出場の形で実を結んだ。3年後のプレミア16も出場してほしい国。

プレミア12・チェコ代表の侍ジャパンシリーズ強化試合〜バンテリンドーム

WBCで芽生えた蕾をプレミア12で育てる。チェコ代表は2つの国際大会が反対方向を向くのではなく、スパライルで前進していくべきだと教えてくれる。日本がチェコの強化試合を務めるときは、観戦ツアーを組んでほしい。

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