2021年の夏、奈良の実家に帰省したとき、関西テレビで巨人・阪神戦を清原和博氏が解説していた。ルーキーながらホームラン20本を放っていたタイガースの佐藤輝明を「東京ドームなら楽に40本打てる」と評していた。
確かに甲子園は浜風の影響でライト方向の打球が押し戻されるから、左バッターには不利。清原氏の発言の正誤はともかく、佐藤輝明のホームラン論争は野球のアイデンティティをよく表している。
同じ競技なのに、大きさや形が異なるグラウンドを使うのは野球くらいだ。アメフトもバスケもサッカーも、選手がプレーするフィールドに野球ほど明確な差はない。同じような長方形でサイズもほぼ同じ。
一方、プロ野球の世界では、東京ドームと神宮球場はホームランが出やすいと言われ、甲子園やナゴヤドームは打者不利と考えられている。
これでは所属するチームよって公平性が失われる。よーいドンでペナントレースをスタートし、本塁打王や打点王などを争うには不公平だ。
しかし、この不条理こそが野球を野球として確立している。読んで字のごとく、この球技は「野原でやるもの」。一応のルールはあるものの、場所に関しては野ざらしであり、原始に近い。他のスポーツとは一線を画している。
公平性を欠き、不条理であるのは世の中の縮図。野球における社会性の強さはここに起因している。スポーツとして未熟であり不完全であるからこそ、人々は熱狂する。
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— YAMATO (@yamatoclimber) 2023年11月9日
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