ベースボール白書

野球観戦、野球考察。活字ベースボールを届けます。『WBC 球春のマイアミ』をリリースしました。

2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧

都市対抗野球2024〜野球雲が見えた日

「毎日クソ暑くて死にそうですね」なんて書き出しのビジネスメールが届く令和6年7月。プロ野球でも熱中症が顕著になり、夏の野球は給水所のないフルマラソン化している。高校野球の甲子園すら大阪ドームへの遷都が唱えられる。東京ドームが存在しなければ、…

奈良の甲子園〜まほろばの野球

初代の天皇である神武天皇を祀る橿原神宮。大和三山のひとつ畝傍山(うねびやま)が見守る麓に奈良県立橿原公苑野球場(佐藤薬品スタジアム)がある。ここは夏の甲子園の奈良県代表校を決める予選会場。 1952年(昭和27年)7月に開場。その年の9月にはプロ野…

都市対抗野球2023〜一瞬の夏

リモートワークが増え、同じ部署でも同僚や上司と顔を合わせなくなった。たまに会うと仲はいいが連帯感は希薄になりつつある。もし会社に野球チームがあって、企業がひとつになれれば、どれほど楽しみが増すだろう。 アマチュア野球は夏にクライマックスを迎…

今永昇太〜横浜ダイヤのA

最後に横浜の埠頭に来たのは野球を題材にした映画『バンクーバーの朝日』のエキストラに参加した10年前。プロ野球のシーズン前でガランとした横浜スタジアムを見上げていた。今は真夏の熱狂空間に変わっている。 毎週のようにWBC戦士を追いかけているが、最…

社会人野球日本選手権〜晩秋の片隅で

大阪ドームでの日本シリーズが終わり、すぐに社会人野球日本選手権が開幕した。日本シリーズより楽しみな大会。今年で48回目を迎える。 11月8日(水)から19日(日)までの12日間、前年王者トヨタ自動車をはじめ、予選を突破した32チームが優勝旗である「ダ…

Baseball 5(ベースボール・ファイブ)の黎明

室内でやる野球があるという。ドーム球場ではない。体育の授業で使うような広さの。その名を「Baseball 5(ファイブ)」という。 5人制、5イニング、道具はゴムボールだけ。18mの正方形のコートの中で行う超コンパクトなスモール・ベースボール。小学生の頃…

佐々木朗希と宮城大弥〜ジョナサンの翼

9月になっても日中は夏。夕暮れが訪れてようやく秋がおりてくる。2023年9月10日(日)、ふたりのWBC戦士が戻ってきた。巨人の大勢、そしてロッテの佐々木朗希。 向かったのは海浜幕張。錦糸町で師匠と会い、総武線で西船橋。南船橋まで乗り継ぎ、武蔵野線に…

サンマリンの風に抱かれて

WBCを追いかけて6ヶ月。侍ジャパンの戦士を見るためプロ野球12球団すべての試合を観戦し、トーナメント制の野球を学ぶために高校野球の甲子園、全日本大学野球選手権、社会人の都市対抗野球にも足を運んだ。9月は台湾にU-18のワールドカップ、米国はフェニッ…

浅野翔吾〜あすなろ白書と無限の蕾

2023年4月。春風に誘われてジャイアンツ球場に来た。巨人の二軍戦を観るのは、8年前、同郷の岡本和真を追いかけて以来のこと。今はもう球場のシートも変わっている。平成から令和になり、ついに岡本和真のポテンシャルを超える高卒の野手が現れた。 浅野翔吾…

巨人vs.阪神〜伝統の一戦2023

日本のプロ野球の黎明期、「投」の沢村栄治、「打」の景浦將、「守」の苅田久徳と呼ばれた。東京セネタースという今な失きプロ野球チームに所属した苅田は日米野球を経験し、「内野の要は二塁手だ」と言ってショートからセカンドに転向したという。 「日本に…

ローンデポ・パークのムーンライト〜マイアミの奇跡

ニューヨーク、フィラデルフィア、そしてマイアミ。米国に求めるものは、いつも東海岸にあった。2023年9月17日の日曜日。ビスケーン湾の朝日に救われ、朝食も食べたことで少し気分が晴れた。ホテルでシャワーを浴びて10時半にUberの車を頼む。10ドル。この旅…

幻のチェイス・フィールド〜アリゾナ砂漠の蜃気楼

2023年9月16日(土)、一睡もできずに朝を迎えた。6時を過ぎても外は暗い。6時半を過ぎて、ようやく空が明けてきた。日の出を見よう。インスタントのコーヒーを飲み干し外に出る。 ホテルの前にはバンク・オブ・アメリカ。人はいない。静かなフェニックスの…

楽天モバイルパーク〜フライ、イーグルス、フライ

2013年10月。風に吹かれて仙台にやってきた。退職する会社から有給を使い切るように言われ、木曜日に休みをとった。正午には小雨が降ったが、15時になると青空が広がり強烈な太陽が駅の西口から昇ってきた。 WBCの余熱を受け、野球熱が沸騰し11球団の試合を…

広島カープとマツダスタジアム〜仁義なきベースボール

新幹線のぞみが新大阪駅に停まると車内は関西弁に変わった。景色がなくてもわかる。西に来た。パ・リーグの首位はソフトバンク。セ・リーグは阪神、2位が広島。オリックスは苦しんでいるが、プロ野球は西高東低。今日はマツダスタジアムで首位攻防戦がある。…

西武ドーム〜ライオンの夢ベルーナドーム

新宿から387円。待ち時間を入れても1時間1分。新宿駅は溢れんばかりに人でごった返しているのに西武新宿駅はガラガラ。ゴールデンウイーク4連休の真ん中、今井達也vs.リバン・モイネロのプロ野球最高の投げ合いでもチケットが取れてしまう。埼玉という地理が…

西武vs.ソフトバンク〜黄金週間のベースボール

みどりの日の意味は知らないが、野球を観るなら深く澱んだ緑のベルーナドームがふさわしい。新宿から西武線に揺られて387円。朝10時50分に西武球場前駅に着くと、抜けるような青空が迎え入れてくれた。 首位と最下位の対決。本塁打王の山川穂高、近藤健介、…

度会隆輝〜この男、度会につき

3月の球春から11月の晩秋までの9ヶ月間。長いプロ野球シーズンで4月は最も面白くない月でもある。「死月」と言ってもいい。ギアは1速、気候も寒い。レギュラーを選別するための見極め期間であり、シーズン後には2軍にいる新人やベテランも試合に出る。良いス…

横浜スタジアム〜野球場からの贈り物

関内駅の赤煉瓦を背に、数メートル歩くと野球場が見えてくる。ドーム球場が増え「ボールパーク」「フィールド」の名称が次々と輸入された令和。「スタジアム」の呼称はZOZOマリンとMAZDA、そして企業名ではなく地名が残っているのは「横浜スタジアム」だけに…

大阪球場物語〜京セラドームと大阪ドーム

「この球場のいいところを教えて」「屋根があって雨の心配がないところさ」 冗談のような会話が真実を帯びてしまう。訪れた人は目と鼻の先の甲子園と比較して良いところを探すが、辿り着くのは最初の言葉。 京セラドーム大阪は東京、福岡に続く3番目のドーム…

野球はなぜチームスポーツなのか?

野球がチームスポーツであることは自明である。その理由は複数人で行うからではない。勝利を目指し、時には個人の記録を犠牲にするからだ。 ただし、送りバントという分かりやすい自己犠牲のことではない。見る側には分からない、もっと奥の深い駆け引きが野…

球場が違う不公平こそ野球のアイデンティティ

2021年の夏、奈良の実家に帰省したとき、関西テレビで巨人・阪神戦を清原和博氏が解説していた。ルーキーながらホームラン20本を放っていたタイガースの佐藤輝明を「東京ドームなら楽に40本打てる」と評していた。 確かに甲子園は浜風の影響でライト方向の打…

オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ

新潟アルビレックスのアルファくん 2024年からプロ野球の2軍が12球団から14球団になった。ハヤテ223(ふじさん)とBCリーグの新潟アルビレックス・ベースボール・クラブがNPBに参戦。他の12球団と違い1軍を持たないという特殊事情がある。新潟アルビレックス…

アジアプロ野球チャンピオンシップ

アジアプロ野球チャンピオンシップ2023 2023年は3月のWBCで始まり空前絶後の熱狂を生んだ。野球ファンにとって幸せなスタートとなり、コロナ・ウイルスで闇に包まれた野球界に光明がさした。来年はプレミア12が控えており、3年後のWBCも今から待ちきれない。…